USBメモリのフォーマットでは消せない領域
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フォーマットでは、USBメモリのMBRが消えない。
USBメモリをDOS起動ディスクとして使ったりしていると、Windowsによるフォーマットではリセットされない領域が作られていることがあります。
USBメモリ用のDOS起動ディスク作成ソフトを使用し、容量がどう変わるのかを調べてみました。
- 作業1: RufusでFreeDOS起動ディスクを作成
-
作業2: RMPrepUSBでFreeDOS起動ディスクを作成
RMPrepUSBの場合はさらに3種類の設定で試行。
- no MBR (MBRなし)
- with MBR (MBRあり)
- 2PTN(パーティションを2つ作成。内一つは隠しパーティション)
使用したUSBメモリは500MB。フォーマットはWindowsの標準機能で行っています。
エクスプローラ上の容量(MB) | フォーマット画面の容量(MB) | |
---|---|---|
初期化直後 | - | 492 |
初期化 →フォーマット[基準] | 491 | 492 |
作業1 →フォーマット | 490 | 491 |
作業1 →フォーマット →作業2(2PTNS) →フォーマット |
470 | 470 |
作業2(no MBR) →フォーマット | 491 | 492 |
作業2(with MBR) →フォーマット | 477 | 477 |
作業2(2PTNS) →フォーマット | 470 | 470 |
作業2(2PTNS) →フォーマット →作業1 →フォーマット |
490 | 491 |
上の表からわかるのは、MBR有りや複数パーティションで処理したものは、1度フォーマットし直した後も容量が回復できていないことです。
USBメモリのブートセクタや隠しパーティションは、フォーマットしても消されずに残っています。エクスプローラからは見えませんが、バイナリエディタ等で見ることができます。
USBメモリの内容をバイナリエディタで見る方法
バイナリエディタを使ったことがない場合は、入手してください。とりあえず、HxDで説明します。
HxD - Freeware Hex Editor and Disk Editor
https://mh-nexus.de/en/hxd
HxD ダウンロード
https://mh-nexus.de/en/downloads.php?product=HxD
HxDはフリーのバイナリエディタで、ストレージの内容を直接見ることができます。インストール版とポータブル版があります。
- HxD.exeを管理者として実行。
- メニューのエクストラ(X)→ディスクを開く(D)
- 論理ディスクのUSBメモリ、または物理ディスクのリムーバブルディスクの中からUSBメモリに該当するものを選ぶ。
- ok
USBメモリの先頭セクタを消去
バイナリエディタを使って手作業ですることもできますが、ソフトを使う方が簡単です。コマンドでも可能です。
ソフトで消去
いくつかありますが、私が普段使っているソフト(2つ)だけ紹介します。
- HDD LLF Low Level Format Tool
- RMPrepUSB Portable版
HDD LLF Low Level Format Tool
http://hddguru.com/software/HDD-LLF-Low-Level-Format-Tool
ローレベルフォーマット(ゼロフィル)をするソフトです。Perform quick wipeにチェックを入れれば、パーティション情報やMBRだけを消去できます。
USBメモリ・SDカード等のフラッシュメモリやHDDに対して使用可能。
シェアウェアですが、個人・ホームユースの場合は無料で使えます。(処理速度制限あり、50MB/sまで。USBメモリの容量なら気にしないでよいでしょう。USB2.0以下なら50MB/s未満です)
使い方
- HDDLLF.4.40.exeを起動
- 消去したいUSBメモリを選択
- Continue
- LOW-LEVEL FORMATタブ選択
- Perform quick wipe (just remove partitions and MBR)にチェック
- FORMAT THIS DEVICE
RMPrepUSB Portable版
フリーのブータブルUSBストレージ作成ソフトです。ダウンロード方法等は、前回の記事のRMPrepUSB Portable版の部分をご参照ください。MBRや隠しパーティションを消去するには、Cleanボタンを使います。
使い方
- RMPREPUSB.exeを起動
- 消去したいUSBメモリを選択(画面上の方)
- Cleanボタンをクリック(画面右下)
- 英語のメッセージウインドウが表示される。(内容は、指定のUSBメモリを消去して良いか)
→OK - 他のウインドウが最小化され、コマンドプロンプト画面とメッセージウインドウが表示される。(ウインドウメッセージの内容はやっぱり、消去して良いか)
→OK - "Driver MBR has been wiped"と表示されたら、消去成功。
→OK
Cleanコマンドで消去 (Windowsの場合)
- コマンドプロンプト(cmd.exe)を管理者として起動
- diskpart
- list disk
(USBメモリのdisk番号を確認) - select disk (上で確認した数字)
- clean
-
このままではフォーマットできないため、パーティションを作成 *
create partition primary
* cleanコマンドを実行後に、USBメモリをフォーマットしようとすると、容量が「不明な容量」と表示されます。
この状態では、Windowsでフォーマットしようとしても失敗し、「Windowsはフォーマットを完了できませんでした。」と表示されます。(RufusやRMPrepUSB等で起動ディスクを作成する場合は問題なし)
いったんdiskpart、またはディスクの管理(diskmgmt.msc)[あるいはコンピューターの管理→記憶域→ディスクの管理(ローカル)]からパーティションを作成してからフォーマットしなければなりません。
HDDLLFで消去した場合 … フォーマット可能
Cleanコマンドで消去した場合 … フォーマット不可
Cleanコマンドで消去した後、パーティションを作成 … フォーマット可能
消去の結果
消去方法によって消される範囲は少し違うようですが、ちゃんとMBRや隠しパーティション領域が解放されるので問題ありません。
左: 消去前の状態
右: HDDLLFでQuick Low-Level Format。セクタ0、セクタ1ともに消去。
左: RMPrepUSBでClean処理。セクタ0消去、セクタ1残存。
右: WindowsでCleanコマンド使用。セクタ0残存、セクタ1消去。
※ とりあえずセクタ0と1だけ比較。他のセクタについては未確認。
USBメモリ全体を消去 (先頭セクタも含めて)
先頭セクタ等だけでなく、USBメモリの全領域をきれいさっぱり消したい時に。(USBメモリにも寿命がありますので、必要な時だけにしてください)
前章のHDD LLF Low Level Format Toolでローレベルフォーマットすれば、先頭セクタも含めて全部消されます。
- HDDLLF.4.40.exeを起動
- 消去したいUSBメモリを選択
- Continue
- LOW-LEVEL FORMATタブ選択
- Perform quick wipe (just remove partitions and MBR) チェックなし
- FORMAT THIS DEVICE
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